1.自然農法を実践するにあたって
春夏秋冬といった四季の移り変わりの順序や、「旬」といった何事にも適した時期があるように、自然にはさまざまな法則があり、私たちもその一員として生かされています。
日常生活の中で自然の法則を意識することはあまりないかもしれませんが、人間が自然の営みの中で生活しているのであれば、自然に則した生き方を心がけることが大切です。
自然農法は「自然尊重・自然順応」を基本としており、自然に倣い作物を育てることで自然と人間の関係を見つめていきます。
いくら肥料や水を与えても適した時期に種をまかなければ芽は出てこないように、自然の摂理を無視することはできません。
これは、土や作物も自然の一員であるからです。
また、自然農法では生産者の「心のあり方」を大切にしています。土や作物に愛情をかければそれに応えて作物が健やかに育っていくことを感じることがあると思います。
人のため、社会のために貢献する志と行動力を養う
何のために自然農法を実践するのかは、「心のあり方」と密接にかかわってきます。
愛情をこめて育てた作物を通して、それをいただく人々が健康になることや、農薬や化学肥料を使わないことで地域の自然環境を守るといった、人のため、社会のために貢献する高い志を持って生産をすることが大切です。
自らの健康、家族の健康を大切にする
生産者自身やその家族の健康が保たれることが自然農法で人々の健康を守ることに繋がります。
自然農法を通して互いに思いやり、感謝しあえる家庭を育てることが大切です。
自らが自然農法で育てた農産物で心身ともに健康になってこそ、自信を持って他の人々に分け与えることができるのではないでしょうか。
生産の計画を立てる
いくら良い農産物を生産しても、それを食べてくれる人がいなければ、その農産物に価値は生まれません。
消費者の期待に応えられるよう、具体的な経営計画をもち、家族や仲間と話し合い、計画性ある生産をすることが大切です。
生産した農産物への責任をもつ
生産した農産物がたどり着く先は家庭の食卓です。
農産物が自分の手から離れたら終わりではありません。
消費者が喜んで食べている姿まで思いを馳せ、責任を持って栽培や出荷に取り組みましょう。
また、消費者に気持ちが届くように、栽培の様子や食べ方等を記した産地便りなどを作ってみましょう。
創意工夫をする
農業は自然と深い関係にあることは既に述べましたが、自然農法の栽培においても、地域によって気候風土や環境が異なるため、基本はあっても画一的なマニュアルを作ることはできません。
生産者は栽培の基本を身につけた後は、地域における伝承技術や自然農法の優良事例を参考に、ほ場や作物にあった栽培管理のあり方を創意工夫することが大切です。
一年に一度しか作付しない作物であれば、たとえ10年間栽培をしていても、栽培の結果として収穫を体験するのは10回です。
10回の栽培の中で自らの栽培法がどれだけ確立できたのかは、日々の作業の積み上げに左右されますので、常に探究心をもって栽培に取り組む姿勢が求められます。